9月18日の日曜日。

 

太陽も夏の終わりを感じて幾分元気がなくなったのか、

もはや線香花火の最後の玉のように真っ赤に膨れ上がることもなく、

古宇利大橋のかなた、雲の隙間に控えめに落ちていきました。

 

夜の帳が降りると、

昼間の喧騒が嘘のように古宇利島には静寂が訪れ、

ここが海とサトウキビに囲まれた小さな島だということを

思い出させてくれます。

 

そんな日曜日の黄昏時、

ビールで一週間の疲れを洗い流そうとしたまさにその時、

一本の電話がかかってきました。

(僕はすでにビールを飲んでいたので、他のスタッフが電話に出ました。笑)

 

 

「9月22日から25日まで沖縄に行くのですが、Cカードの講習を受けることはできませんか?」

 

 

「一度相談させてください…」

 

当店のスタッフがそう回答したのも無理はありません。

すでに開催希望日の4日前で、事前学習の時間も取れず、

しかも飛び石連休中ですでに他にたくさんのご予約を頂いています。

 

相談を受けた僕は、最初はお断りしようかと思いました…

 

しかし電話を受けたスタッフの話を聞くと、

お客様のやる気が尋常ではなく、人生全てを賭けてこの講習に臨む覚悟でいるとのことです。

(間違えました、人生ではなくこの沖縄旅行全てをかけてでした。)

 

 

それなら俺らも全力でやってやろうじゃねぇか!!

 

 

というわけで前置きが長くなりましたが、

イレギュラーな日程で三日間のOWDコース(Cカード講習)を開催しました。

 

当店では、初日のスキルの練習は海ではなくプールで行っています。

 

もちろんその分費用も移動時間もかかるので

とにかく安近短が重要というお客様には向かないですが、

これから始まるダイビング人生を長く安全に楽しんで頂くためには、

 

最初にじっくりストレスの無い環境で

スキルを身に付けることが重要だというのが僕らの思いです。

 

9月22日、お客様の那覇空港到着時間は14:30予定。

しかし、どうしてもこの日にプール講習を終わらせないと、

3日間で全てのカリキュラムを終えることができません。

(普段は2日間で全て終えることも可能ですが、今回はすでにほかのご予約も間に入っていたためです。)

 

普段使わせてもらっている本部町のプールではなく、

宜野湾市にあるプールまで出張することにしました(出張料金とか、ないですよ)。

 

 

16:00、エイジさんとマオさん、スーツケースを持ったままプールに登場です。

なんだかそれを見た僕は、

「ホントにこの人たちは全てを賭けて臨んでくれるに違いない…」

と勝手に思い、一人で嬉しくなっていました。

 

エイジさんは元々海が大好きで、いつか絶対ダイビングも始めようと思っていたそう。

どの水中スキルも、問題なくサクサクこなしていきます。

 

マオさんも海が好きで講習へのやる気も十分。

エイジさんにのんびり沖縄旅行に行こうと、

騙されて連れてこられたわけではないようです。笑

 

マオさんはマスククリアで少し苦戦し、僕とマンツーマンで練習しました。

時間はすでに18:30、まるで部活みたいです。

 

後から聞いた話では、この時すでに心が折れかけていたようです…

マスククリアはつまづく方が多いスキルですが、時間をかければちゃんとできるようになります。

ひとつひとつ問題のあるところを改善して、何とか海に出られるところまでいきました。

長旅でお疲れの中、よく頑張ってくれたと思います。

 

2日目、3日目は海洋実習です。

今回は海況の良い崎本部(ゴリラチョップ)で開催しました。

 

お二人とも僕の理屈っぽい話を丁寧に聞いてくれて、

苦手なマスククリアも問題なく(本人は嫌がっていましたが。笑)こなし、

2日目の海洋実習も無事終了しました。

しかし、その日の夜、エイジさんから不吉なLINEが届きます。

 

「お勧めの泡盛の名前、何でしたっけ?」

 

事前学習の時間が取れていないのに、明日はもう最終の学科試験です。

 

「くら です。

まさか勉強もそこそこに、飲んでるわけではないですよね?」

 

「まさかまさかー。笑」

 

嘘は良くないです。

 

「安心しました。お土産用ってことですね。」

「そ、その通りです!」

 

3日目の朝、

酒臭かったらお仕置きしないとと気張っていましたが、

二人ともさわやかな笑顔で現れました。

さすがです、メリハリがあります。

 

この日の海洋実習はお二人とも余裕があり、

覚えたての中性浮力を取って真っ白な砂地の上を気持ちよく泳いでいました。

ショップに戻ると、早速学科の最終試験です。

 

エイジさん、さくさくっと試験を終わらせ、合格。

さすが、泡盛を飲んでる余裕があります。

 

マオさん、問題を解きながら

「全然わからない…」と呟きます。

 

 

おそらくその場にいた全員が再テストを覚悟したことでしょう。

 

マオさんの解答を採点してみると、エイジさんより高得点。

全然わからないとは、やらしいことを言います。笑

 

 

さて、毎度のごとくダイビングの内容にはあまり触れていませんが、

こうして無事2人の新たなダイバーが誕生しました。

 

夜は名護の社交場みどり街に移動して打ち上げです。

名護の地酒、くらのボトルがペロッと空きます。

 

話したことの2割くらいしか覚えていませんが、印象に残っているマオさんの言葉があります。

 

「古宇利島ダイビングで講習を受けることができて、本当に良かったです。」

 

僕も全く同じ言葉を返したいと思います。

 

「お二人の講習を担当することができて、本当に良かったです」

 

 

古宇利島ダイビングはまだできて2年目の小さなショップですが、

その分できることは何でもやろうという気持ちがあります。

今回の講習も限られた時間の中で試行錯誤し、

僕たちも学ぶことがたくさんありました。

 

お客様に全力で向かい合って、一緒に成長することができる。

それって素敵なことだなと思います。

 

お二人にとってダイビングが生涯の趣味となり、

人生にまたひとつこれまでとは違った彩りが添えられたら良いなと思います。

ありがとうございました。

 

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今回のオープンウォーター講習の流れ
1日目
13:30 沖縄着
15:30〜18:30 宜野湾まりりん プール実習

2日目
午前中 学科自習
12:00〜18:00 海洋実習

3日目
9:00〜10:00 学科講習
10:00〜12:30 海洋実習
12:30〜13:30 お昼休憩
13:30〜15:30 海洋実習
16:00〜17:30 最終テスト 認定

4日目
沖縄発

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